- 放射線技師の経験を活かして、メーカーで働いてみたい
- 病院以外で自分のスキルが通用するのか不安
- メーカーに転職すると、年収はどう変わるの?
結論からお伝えすると、診療放射線技師の臨床経験は医療機器メーカーで高く評価されます。特にCTやMRIなどの画像診断装置を扱うポジションでは、現場を知る技師の存在が欠かせません。
実際に、私の元同僚も放射線治療の経験を武器に大手メーカーへ転職しています。一方で、私自身は家庭の事情からメーカーを選びませんでした。
この記事では、メーカー転職の方法・年収・向いている人の特徴を解説します。読み終えれば「自分にメーカーが合うかどうか」を判断できますよ。
放射線技師が活躍できるメーカーの職種3選

「医療機器メーカー」と聞くと、営業や開発をイメージする方が多いかもしれません。しかし、放射線技師の臨床経験を直接活かせるポジションがいくつかあります。
ここでは、代表的な3つの職種を紹介します。
アプリケーションスペシャリスト
放射線技師からメーカーに転職する場合、最も多いのがこの職種です。
自社の医療機器(CT・MRI・マンモグラフィなど)の導入を検討している病院への説明、購入後の操作トレーニングを担当します。営業担当と一緒に病院を訪問するのが基本的な働き方です。
臨床現場で機器を使っていた経験がそのまま強みになるため、放射線技師との相性が非常に良い職種といえます。
くろぶち私の同僚は放射線治療を10年以上担当し、昇進が見えず行き詰まりを感じてメーカーへ転職しました。
ただし、病院とは働き方が大きく変わります。詳しくは「メーカーと病院の働き方の違い」で解説します。
サービスエンジニア
医療機器の設置・点検・修理を担当する技術職です。
病院に納品された機器が正常に動作するよう、定期メンテナンスやトラブル対応を行います。機器の操作に慣れている技師には、仕組みを理解しやすいポジションです。
ただし、臨床経験だけでなく「装置そのものへの興味」があるかどうかがポイントになります。
医療機器の営業職
自社の画像診断装置やPACSなどを、病院やクリニックに提案する仕事です。放射線技師の経験があると、現場の課題を深く理解したうえで提案できます。
営業職は成果が数字で評価されるため、インセンティブがつくケースも多く、年収アップの可能性が最も高い職種です。
| 職種 | 仕事内容 | 出張頻度 | 求められるスキル |
|---|---|---|---|
| アプリケーション スペシャリスト | 機器の説明 操作トレーニング | 多い | 臨床経験 プレゼン力 |
| サービス エンジニア | 機器の設置 点検・修理 | やや多い | 臨床経験 機械への関心 |
| 営業職 | 機器の提案 販売 | 多い | 臨床経験 コミュニケーション力 |
メーカー転職のリアルな年収と待遇


「年収は上がるの?」——メーカー転職を考えるとき、最も気になるポイントですよね。
ここでは、病院勤務とメーカー勤務の年収・待遇を比較します。
病院勤務との年収比較
病院勤務の放射線技師とメーカー勤務では、年収にどのくらい差があるのかを整理しました。
| 項目 | 年収 | 出典 |
|---|---|---|
| 放射線技師の 平均年収 | 約550万円 | 厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」 |
| アプリケーション スペシャリスト | 約450万 〜700万円 | マイナビコメディカル求人データ |
| 医療機器メーカー 全体の平均 | 586万円 | doda「平均年収ランキング2024」 |
転職初年度は前職と同程度からスタートするケースが多いですが、2年目以降は成果次第で大きく伸びる可能性があります。
私は病院時代、ピーク時の額面年収が約480万円でした。手取りだと月20万円台前半。
メーカーに転職した同僚は、具体的な金額は聞いていませんが、待遇には満足していたようです。
※なお、外資系メーカーでは成果主義を採用する企業もあり、年収の幅が大きくなる傾向があります。
メーカーと病院の働き方の違い
年収以外の待遇面も、病院とは大きく異なります。
まず、当直や夜勤がなくなるのは大きなメリットです。ただし「夜勤がない=定時で帰れる」とは限りません。



同僚は病院の業務後に機器説明に行くことが多く、遅くなる日もあると言っていました。
また、病院では毎日同じ場所に通勤しますが、メーカーではさまざまな医療施設を訪問する働き方になります。出張も増え、同僚は研修で海外に行くこともありました。
| 比較項目 | 病院勤務 | メーカー勤務 |
|---|---|---|
| 当直・夜勤 | あり | なし |
| 勤務場所 | 毎日同じ病院 | さまざまな 施設を訪問 |
| 出張 | ほぼなし | あり (海外を含む場合も) |
| 遅い時間の 対応 | 当直時 | 相手先の業務終了後に 訪問することがある |
病院勤務の「拘束感」とメーカー勤務の「拘束感」は種類が違います。どちらが自分の生活に合うかで判断してみてください。
メーカー転職に必要なスキルと向いている人


「自分のスキルで通用するのか?」という不安は、多くの技師が感じるところです。
ここでは、メーカーが求めるスキルと、向いている人の特徴を整理します。
臨床経験で評価されるポイント
メーカーが放射線技師に期待するのは、「現場のリアルを知っていること」です。
特に評価されるのは、CTやMRI、放射線治療装置など特定のモダリティを深く扱った経験です。撮影条件やプロトコルを自分で調整していた経験も高く評価されます。
医師やスタッフとのコミュニケーション経験、学会発表や勉強会の企画経験があれば、さらに強いアピール材料です。「何でもまんべんなく」よりも、専門性の深さが武器になります。
転職に有利な資格とは
アプリケーションスペシャリストの求人では、資格よりも臨床経験が重視される傾向です。ただし、第1種放射線取扱主任者のような資格は選考でプラスに働く場合があります。



メーカーに転職した同僚も第1種を持っていました。専門スキルの有無が転職の明暗を分けると感じています。
各モダリティの認定資格(CT認定技師、MRI認定技師、放射線治療専門技師など)も、担当モダリティと一致すればアピール材料になります。
向いている人・向いていない人
メーカーへの転職は、すべての技師におすすめできるわけではありません。
向いているのは、特定のモダリティに強い専門性があり、人前で説明するのが苦にならない方です。「今の職場でキャリアが行き詰まっている」と感じている方にとっては、大きな転機になる可能性があります。
一方で、家庭の事情で働く場所や時間を安定させたい方には、慎重に考えてほしいです。



正直にお伝えすると、私自身はメーカー転職を選びませんでした。家族の介護があり、出張や遅い時間の対応が難しかったからです。
年収アップの可能性がある分、時間や場所の自由度が下がるのは事実です。「年収」だけでなく「自分の生活スタイルに合うか」まで含めて判断してみてください。
メーカー転職の具体的な5ステップ


ここからは、実際にメーカーへ転職する際の具体的な手順を解説します。
ステップ1:自分の強みを棚卸しする
まずは「自分が何を武器にできるか」を整理します。
担当してきたモダリティ、経験年数、得意な検査、保有資格をリストアップしてみてください。メーカーは「どのモダリティの担当として活躍できるか」を重視するため、専門性の明確化が最初のステップです。
ステップ2:転職サイトに登録する
メーカーの求人は、医療機器業界に特化したエージェントにも多く掲載されています。
放射線技師専門の転職サイトに加えて、総合型エージェント(リクルートエージェント、dodaなど)にも登録しておくと選択肢が広がります。



メーカー求人は非公開のものも多いです。複数のエージェントに登録して情報を集めるのがおすすめですよ。
ステップ3:職務経歴書を準備する
病院の転職では履歴書だけで済むケースもありますが、メーカーでは職務経歴書が必須です。
単に「CT撮影を担当」と書くのではなく、「CT検査を1日〇件担当し、撮影プロトコルの最適化に取り組んだ」のように具体的な数字を交えて書くのがポイントです。
ステップ4:面接対策をする
メーカーの面接は、病院とは大きく異なります。面接回数は2〜3回が一般的で、適性試験が実施されるケースもあります(診療放射線技師JOBより)。
「なぜメーカーで働きたいのか」「臨床経験をどう活かせるか」が必ず聞かれます。「自分の専門知識を製品を通じて広く届けたい」のような前向きな志望動機を準備しておいてください。
ステップ5:内定後の退職準備
内定が出たら、現職の退職手続きを進めます。
病院は人手不足のケースが多いため、遅くとも退職希望日の2〜3ヶ月前には上司に相談することをおすすめします。
まとめ|メーカー転職は合う人には最高の選択肢


この記事のポイントを整理します。
- 放射線技師の経験を活かせる職種は、アプリケーションスペシャリスト・サービスエンジニア・営業職
- 年収は病院勤務と同等〜大幅アップの可能性あり。転職成功のカギは特定モダリティの専門性
- 当直・夜勤はなくなるが、出張や遅い時間の対応など別の負担が生まれる
- 職務経歴書の準備と面接対策(2〜3回)が、病院の転職との最大の違い



私自身は家庭の事情でメーカーを選びませんでした。でも、合う人には最高の選択肢だと思っています。
「年収を上げたい」だけでなく「自分の生活スタイルに合うか」まで考えて判断することが、後悔しない転職のポイントです。
まずは転職サイトで実際の求人を見てみるところから始めてみてください。


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