放射線技師の平均年収は約550万円。でも、17年間で最も高かった年でも、私の額面は505.7万円でした。
しかも、その505.7万円のうち105.1万円は時間外手当です。残業を外すと400.6万円でした。
毎月の給与明細を見て「平均550万円ってどこの話?」と感じている人も多いのではないでしょうか?
- 平均年収550万円と自分の給与のギャップにモヤモヤする
- 昇給が少なくて、この先が不安
- 収入を上げたいけど、何から始めればいいか分からない
結論からお伝えすると、放射線技師の年収は「安定しているが、爆発的には上がりにくい」のが現実です。ただし、戦略的に動けば収入を上げる方法はあります。
この記事では、総合病院17年勤務(うち放射線治療専任14年)・第1種放射線取扱主任者の筆者が、統計データと自分の実額をもとに、放射線技師の年収のリアルと収入を上げる具体的な方法を解説します。
読み終わる頃には「自分はまず何をすべきか」が見えてくるはずです。
この記事に出てくる私の金額について
すべて手元の源泉徴収票と給与明細から拾った実額です。求人票や統計の平均値ではありません。
統計データで見る放射線技師の平均年収

まずは公的データを確認します。放射線技師(正式名称:診療放射線技師)の給与に関する最新統計は以下のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 平均年収 | 約550万円 |
| 平均月収(残業・当直含む) | 約37.6万円 |
| 年間賞与 | 約99万円 |
| 平均年齢 / 勤続年数 | 40歳 / 13年 |
全職種の平均年収(約526万円)を上回る水準で、医療職の中では薬剤師(約599万円)に次ぐ位置です。
同じ調査では、看護師が約520万円、臨床検査技師が約504万円、臨床工学技士が約423万円でした。
数字だけ見ると悪くない印象を受けます。でも、現場で働いていると「そんなにもらえるの?」と思う人が多いのが実情です。
くろぶちただ、私の実感とはかなりギャップがあります。詳しくはこの後で。
年代別の平均年収
年収は年齢によって大きく変わります。「自分はどの位置にいるのか」を確認してみてください。
| 年代 | 平均年収 | ポイント |
|---|---|---|
| 20代前半 | 約384万円 | 初任給は月約19万円スタート |
| 20代後半〜30代 | 約400〜500万円 | 経験を積み徐々に上昇 |
| 40代 | 約550〜650万円 | 役職に就くと上乗せ |
| 50代後半 | 約760万円 | ピーク。技師長クラス |
| 60代以降 | 下降傾向 | 再雇用で給与条件見直し |



私は時間外を除くと、30代半ばで400万円台。この表とほぼ同じでした。
勤務先によっても年収は変わります。大学病院・総合病院・クリニック・医療機器メーカーで幅があり、どの職場を選ぶかが年収の前提を決めます。
勤務先ごとの年収や働き方の違いは、転職先を5つに整理したこちらで比べてみてください
17年働いた私の年収のリアル


ここからは、地方の総合病院で17年間働いた私自身の実額をお見せします。
17年分の年収は最高505万円
17年で最も額面が高かったのは、11年目の505.7万円です。最も低い新人期は220.9万円でした。
源泉徴収票から、節目になる年を9つ抜き出しました。金額はすべて万円です。
| 年目 | 勤務 | 額面 | 手取り | 手取り率 | うち時間外 | 時間外を除いた額面 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1年目 | 通常 | 220.9 | 190.8 | 86.3% | — | — |
| 4年目 | 通常 | 421.7 | 362.6 | 86.0% | — | — |
| 5年目 | 通常 | 445.1 | 381.8 | 85.8% | — | — |
| 11年目 | 通常 | 505.7 | 424.9 | 84.0% | 105.1 | 400.6 |
| 12年目 | 通常 | 483.6 | 404.9 | 83.7% | 78.8 | 404.8 |
| 13年目 | 通常 | 479.9 | 402.3 | 83.8% | 69.0 | 410.9 |
| 14年目 | 混在 | 398.9 | 328.1 | 82.2% | 5.9 | 393.0 |
| 16年目 | 時短 | 389.1 | 328.5 | 84.4% | 0 | 389.1 |
| 17年目 | 時短 | 386.4 | — | — | — | — |
4年目=放射線治療の専任スタート/11年目=額面のピーク/13年目=第1種放射線取扱主任者を取得/14年目=6月から時短に切り替わった混在年/17年目=退職の前年。
17年目は控除条件が他の年と異なるため、手取り率は掲載していません。



私は家族の介護のため、途中から時短勤務にしてもらっていました。
手取りは額面の82〜86%。額面が上がるほど、この割合はわずかに下がります。
ピークの2割は残業代
最高年収505.7万円のうち、105.1万円は時間外手当です。ピーク時の2割は残業代でした。
月にすると50時間ほど。この頃は当直をしていなかったので、増えたのは残業だけです。



治療の専任だったので当直はしていません。そのぶん時間外が多かったです。
残業を除くと400万円台
時間外を除くと、11年目からの6年間はずっと390〜410万円台です。基本給の水準は、ほとんど動いていません。
額面が505.7→483.6→479.9万円と下がった11〜13年目も、時間外を除けば400.6→404.8→410.9万円と上がっています。
上がり幅は2年で10.3万円、年5万円ほど。時短になった14年目に額面が81.0万円減ったときも、うち63.1万円は残業代の消滅でした。
- 時間外手当 年105.1万円
- 役職手当の増額分 年10.8万円
- 第1種の資格手当 年6.0万円
役職手当と資格手当を足しても、時間外の6分の1に届きません。第1種を取った13年目も、額面は前年より3.7万円下がっています。
正直、「このまま働き続けても収入面のメリットが少ない」と感じていました。実際、私の周りでも、10年くらい働いてスキルを身につけた同僚が、条件のよい別の施設に転職していくケースが多かったです。
一方で、コロナ禍でも給料遅配や賞与カットは一度もなく、同僚の多くが住宅ローンで家を建てていました。「安定しているけど大きくは上がらない」。これが、総合病院で働く放射線技師の年収のリアルです。



診療報酬の点数は一律なので、個人のがんばりが収入に直結しにくい構造なんですよね。
統計の「平均550万円」には残業代や当直手当が含まれています。
調査データの平均は勤続13年・平均年齢40歳。同じ勤続13年の時点で、私の額面は479.9万円でした(当時30代半ばで、統計の平均年齢よりは若い時期です)。
さらに、50代後半のピーク層(約760万円)や、景気がよかった時代に就職した上の世代が平均を押し上げている面もあります(ただし、この世代は徐々に引退してきています)。
20代〜30代の人が「自分の給与と全然違う」と感じるのは自然なことです。
収入を上げる5つの方法


私自身の経験や同僚の事例をもとに、収入を上げる方法を5つ紹介します。それぞれのメリットと注意点を正直に書きます。
資格取得で市場価値を上げる
手当がつく資格の取得は、最も手堅い方法です。私は第1種放射線取扱主任者を取得し、月5,000円・年6万円の資格手当がつきました。
「月数千円か…」と思うかもしれませんが、資格の本当の価値は「転職時の武器」になる点です。第1種資格を持つ同僚は、大手医療機器メーカーへの転職を実現しました。
資格があることで「応募できる求人の幅」が広がります。



第1種の勉強法は別記事で詳しく解説しています。
転職で環境を変える
同じ病院で昇給を待つより、転職で年収を上げる方が効果的なケースは多いです。特に20代〜30代前半は、勤続年数のリセットによるダメージが小さく、年収アップのチャンスが大きい時期です。
- 第1種資格を活かして大手医療機器メーカーへ
資格が決め手になり、医療機器メーカーへ転職。 - 得意な透視検査を活かして健診センターへ転職
技師歴約20年で副センター長まで昇進。 自分の強みを活かせる場所に移った好例です。 - スキル・経験を評価され、自宅近くの好待遇病院へ
「年収」だけでなく「通勤や働き方」も含めた総合的な条件アップの事例です。
共通しているのは「自分の強みを明確にして動いた」点です。
一方、40代以降は勤続年数のリセットで一時的に年収が下がるリスクもあるので、年収だけでなく勤務時間や福利厚生も含めて総合的に判断してみてください。



転職サイトで求人の相場を確認するだけでも勉強になりますよ。
どこに登録すればいいか迷う方は、元技師が実際に比較して厳選した転職サイトをこちらで確認してみてください。
管理職を目指す
主任・係長・技師長とステップアップすることで、役職手当が加算されます。私は9年目で主任になり、退職前には係長昇進の話もありました。
私の役職手当は月18,000円。月6,000円だった時期との差は年10.8万円です。
ただし、放射線科の技師長は施設に1人だけ。「空きが出るまで待つ」という現実があるので、管理職一本に絞るより、他の方法と併用するのが現実的です。
専門分野を極める
放射線治療、MRI、マンモグラフィなど、特定の分野を極めることで市場価値が上がります。放射線治療専門技師やマンモグラフィ認定技師などの認定資格は、転職時にも強いアピール材料になります。
先ほどの転職事例でも、透視検査のスキルを活かして健診センターで副センター長にまで昇進した同僚がいます。「自分はこれが得意」と言える分野を持つことが、年収アップの土台になります。
副業で収入の柱を増やす
本業の給与を上げるのが難しいなら、副業も現実的な選択肢です。
私は在職中、休日にクリニックでCT検査や一般撮影のバイトをしていました。半日勤務で1万円以上、月に1〜2回の頻度です。


収入面では助かりましたが、正直に言うと長くは続けられませんでした。平日は本業・休日はバイトという生活は、休みがほとんどなくなります。
家族との時間も取れず、体もしんどかったです。 「働くために生きている」ような感覚でした。
副業は収入アップに効果がありますが、体力と家庭とのバランスを先に考えておくことをおすすめします。
なお、巡回健診の単発アルバイトやマンモグラフィ検診のスポット勤務も、放射線技師の資格を活かせる副業です。
時給が高いので、無理のない範囲で収入を補うのに向いています。



クリニックのバイトは本業のスキル維持にもなりました。
- 資格取得
手当増加+転職の武器になる - 転職
20〜30代は年収アップのチャンス大。強みを明確に - 管理職
役職手当で収入アップ。ただしポスト限定 - 専門分野特化
施設の収益に直結するスキルを磨く - 副業
高時給だが体力と家庭のバランスに注意
まとめ|「安定」を活かして戦略的に動く


放射線技師の年収は、統計上は全職種平均を上回る安定した水準です。ただし、現場の実感としては「昇給が小さく、爆発的には上がりにくい」のがリアルです。
だからこそ、「資格取得」「専門分野の深化」「転職」「副業」といった複数の方法を組み合わせて、戦略的に収入を上げていくのがおすすめです。
私自身、毎年の昇給額を見て「このまま働き続けても…」と感じていた時期がありました。そこから資格を取り、クリニックのバイトで収入を補い、最終的にはフリーランスという道を選びました。
小さな一歩の積み重ねが、収入の選択肢を広げてくれます。あなたの状況に合った方法で、まずは一歩動いてみてください。
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